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超個人的酒器の選び方

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久しぶりの雑記ということで酒器を買い求める際の選び方について自分なりにまとめてみます。
といっても目利きとかそういう類の話は一切出てこない(出来ない)ので予めご了承下さいw
基本的には普段使い用の酒器の話で、買う時には良いなと思ったのに、その後使わなくなる酒器と愛用し続ける酒器の違いについて自分なりの見解のまとめです。

酒器を(ここでは基本的にぐい呑、猪口に限定します)買う時の動機は人それぞれかと思います。
どんな動機でも構わないのですが、店頭やギャラリーなどで実物を手に取ってみて、これは良いなと思って購入を検討し始めることになります(通販は除外)。
さてここで購入するかしないかの判断の分かれ目ですが(値段が手が出ないというケースを除いて)、まず良いなと思ったのですから造形なり色合いなりが好みに合ったのは間違いないでしょう。
自分が良いと思った部分について十分に観察をしてから、次に気に入らない部分を探しましょう。
見込みの変化具合は非常に好みだけれど、高台周りの釉薬の垂れ方が少し気になる。
持った時の手に馴染む具合はちょうどいいけど、口縁がでこぼこしていて実際にお酒を口に運んだ時にざらついた感触になりそう等々。
他の部分がどれだけ魅力にあふれていても、不満な部分がひとつでも見つかった時はその器の購入は見送るべきです。
自宅で使い始めてからも、不満な部分が気になって徐々に使わなくなっていきます。
稀に気に入らなかった部分が逆に趣深く感じるようになることは無きにしもあらずですが、九割くらいは不満点は不満なままに終わることが多いように思います。

画像は今現在も頻繁に愛用している酒器をチョイスして撮影しているのですが、どの品も好みであることは勿論の頃、嫌いな部分、不満な点が無い器という所が一致しています。
文字通りの「文句無し」の品を選ぶことが、長く愛着を持って使い続けることのできる酒器には肝要ということですね。
今後普段使いで酒器の購入を検討されている方の参考になればと思います。

ぐい呑み 橋本大輔 窯変天目 京焼


久しぶりの酒器紹介です。
以前に紹介した禾目天目のぐい呑みと同じ作家さんの窯変天目のぐい呑みです。
酒器もお酒同様に自分から積極的に情報収集をしないタイプなので、陶芸祭りなどで気に入った器を買い求めて、自宅に戻ってから初めて検索を掛けたりして、作家さんの略歴や他の作品を識ることになります。
橋本大輔さんのことも五条坂の陶器まつりで偶然好みの禾目天目のぐい呑みを見掛けて、購入したことを切っ掛けに存じ上げるようになりました。
その後、いろいろ調べたたら非常に自分好みの器を多く作陶されていることを知り、特に青煌天目と名付けておられる窯変の器は何が何でも手に入れたいと思っていました。
ただ通販ではまるっきり見つけることができず、店舗で取り扱いがありそうなギャラリーが奈良にあることを調べて赴いたりもしたのですが、これも外れ。
こうなったらまた五条坂の陶器まつりに出店されていることに期待して、あの糞暑い時期の京都に行くしかないかと思っていたのですが、なんか突然大阪高島屋の美術画廊の展示コーナーに出現してましたw
箱書きには青煌天目ではなく窯変天目とありますが、間違いなくネットで見掛けて惚れ込んだ天目と同じ変化なので迷わず購入。
今年は酒器の購入は控えようと言いながら萩井戸の器に続いての購入となってしまいましたが、これはそういう経緯があるのでしゃーなしw

見所は、まあ画像だけでも十分伝わるかな。
光を当てつつお酒を注いだ時の輝きは波佐見焼の器がこれまでは一番でしたが、これはそれに匹敵するか凌ぐかもというレベルです。
手触りはかなり硬質で、陶器らしい土の手触りよりは金属器に通じるものがあります。
なので錫器のように冷やしておいてお酒を注ぐのも良いなあと思いつつ、うっかり手を滑らせて落とした場合に錫器と違って取り返しがつかないので自重していますw

念願叶って手に入れた器なので購入直後はお気に入りで頻繁に家飲み記録にも登場しています。
これである程度酒器欲は満たされたので、よほどのことがなければ酒器の購入をすることは無いと思います(今回は前振りではなく)。
自分にしては珍しく偶然の出会いからではなく、探し求めて入手した(と言っても買うことができたのは完全に偶然ですがw)天目の器の紹介でした。

ぐい呑み 吉野桃李 萩焼 井戸 桃李窯



昨年末の記事で、酒器はもう当分買わないとか書いた覚えがありますが、半年経たないうちに新入りを迎えてしまったので、久しぶりの酒器紹介です。

職場に程近い陶芸専門のギャラリー縄で吉野桃李さんの個展があるのは送られてきたDMで知っていたのですが、決して行くまいと思っていました。
DMの写真の時点で、かなり好みな感じがひしひしと伝わってきて、見に行ったら間違いなく手を伸ばしてしまうことが予測できたので、展示期間中も見て見ぬ振りを続けていました。
なんか良さそうな作品展だからと迂闊に足を運んで、予定外の出費をしてしまうような程度の低い真似は決して致しません。
自分ももう良い年をした大人の男性ですからね、ふふふ。

ただ…ちょっと…、いや本当に偶然なのですが、個展の最終日前日に近くを通り掛かり、しかも折り悪く小雨もぱらついてきてしまって、もうどうしようもなくやむを得ず雨宿りも兼ねてギャラリーの中に足を踏み入れざるを得ない状況に追い込まれてしまいました。
そんな運命的な状況の中で出会って買ってしまったのが、こちらの萩焼井戸形のぐい呑みです。

井戸形のぐい呑みは一つ所持しているのですが、そちらはツヤのあるやや現代風な趣なので、このぐい呑みのようないかにも侘びた佇まいの井戸形も手元に置いておきたいなあとはずっと思っていたんですよね。
そんな自分の思いを見事にど真ん中で撃ち抜いてしまったのが、この器です。
もうこれは運命としか言いようがなく、運命には逆らっても無駄なので年初の決意にはとりあえず目を瞑って頂いて買い求めています。

ちなみにギャラリーで見つけたのは4月の中旬ですが、その時点では共箱がまだということで、売約済みにだけして頂いて、その日は帰っています。
5月半ばくらいにようやく共箱が出来上がったという連絡が入ったので、お迎えに上がっています。
スーツなどはお店で悩み抜いて生地を選んだものの、仕立てが完了する頃にはすっかりどんな生地を選んだのか忘れていて、受け取る段階になって、何で俺こんな生地を選んだんだ…と数カ月前の自分に文句を言いたくなることがよくあるのですが、酒器の場合は幸いそういう経験はありませんw
なぜだろうと思ったのですが、スーツはそもそも生地を気に入って買うというよりは、そろそろ新調しないとという必要に迫られて、その時のお店にある生地の中で比較的好みのものを選びます。
酒器は必要に迫られることがなく、本当に気に入ったものしか手を出さないので、多少時間が経とうと評価は変わらないということなのかなと。

話が盛大に逸れましたが、この器の見所はというと、これはもう実際に使わないとわからないですね。
勿論、画像だけでも器肌や釉薬、貫入などの変化の楽しさは見て取れるとは思います。
しかし、やはり真価はお酒を注いで口に運ぶ時、遠目には気づかなかった小さな肌の表情が目に入る瞬間でしょう。
細かな貫入と釉薬の変化具合は、口元に運ぶたびに新たな発見があり、一体いつになったらこの器を味わい尽くしたと言えるようになるのか予想もできません。

そんなわけで、ゆっくりじっくり長い時間を掛けて付き合っていきたい萩焼井戸形のぐい呑みの紹介でした。
さすがに本当に酒器の購入はこれで控えようと思います(前振り)。

ぐい呑み 小久保凌雲 凌雲窯 萩焼 灰被り

萩焼灰被り

ナドヤドームのやきものワールドで購入した萩焼のぐい呑みの紹介です。

萩焼好きではありますが、萩焼なら何でも好きかというと実はそんなことはなく、たとえば鬼萩なんかは全然良さがわかりません。なんかキモいし。
萩焼の作家さんの展示を拝見しても自分好みでは無いなあと思うことのほうがむしろ多いくらいです。
そのくせピンと来る品に出会うと心底惚れ込んでしまって何が何でも欲しくなってしまうという厄介な個性が自分にとっての萩焼の魅力だったりします。

というわけでピンと来てしまった萩焼のぐい呑み。
形としてはスタンダードな抹茶碗形ですね。
鬼萩はわからんと述べましたが、鬼萩ではない白の萩焼はかなり好きなので手に取って見ると、うっすらとくすんだような変化が見て取れます。
これが所謂灰被りとよばれる変化です。
焼成する際に木灰が被さり釉薬と溶け合ったりして窯変することによる表情で、備前焼で割とよく見ることができます。
実は灰被り自体は器肌から浮いて見えるというか、火傷的な痛々しさや違和感を感じることの方が多くて苦手なのですが、この器の変化は本来の白を損なうこと無く馴染んでいて非常に自分好みです。

高台は萩焼らしく三方割高台ですが、土見せですね。その為、カイラギが無いのですがカイラギもやり過ぎだとキモいと感じてしまう性格なのでむしろOKw
高台わき(高台回り)は藁釉が危うくひび割れを起こす寸前の様相を呈していて、これが割れてしまっていたら好みではない鬼萩風になってしまいます。
危ねーな、もう少し頑張りすぎてたら不合格ですよというギリギリのバランスも気に入った理由のひとつだったりします。

そんなわけでもうほとんど購入を決意しながらいじくり回していると、売り子のおばちゃんが寄ってきて、この器の灰被りがいかにレアかを力説してくれました。
灰被りはものすごく大雑把に言えば灰が付着して焦げることによる変化みたいなところがあるので、基本的に器肌よりも色合いが濃く出ます。
「灰被り」だとシンデレラが出てきてしまうので、「灰被り 器」とか「灰被り 茶碗」などのキーワードで画像検索するとわかりやすいかな。
そんなわけで本来この白の萩焼も灰被ると黒く焦げたような変化になってしまうことが多いらしいのですが、これくらいのちょっとした変化で落ち着くパターンは非常に珍しいのだそうです。
もっとも灰被りが強く、濃く出た方が好みという人も当然たくさんいますので、別にこれくらいの変化だから価値が高いというわけでは決してありません。
ただ自分好みであるのは先述の通りなので、出会いに感謝しつつ購入しました。

酒器はそれぞれに思い入れや良さがあるので、順位付けやランク付けはしないのですが、それでもこの器はお気に入り度がかなり高いので使う頻度は多いです。
今後どのように化けていくのかも楽しみな器です。

木村宜正 清水焼 ぐい呑み 禾目天目(トチ目天目)

木村宜正禾目天目
大阪高島屋の木村宜正作品特設展示販売コーナーで見掛けて手に取った器です。
見込みから口縁に向かって広がる花火のような窯変の美しさに一瞬で惹き込まれてしまいました。
以前に紹介した禾目天目の器は口縁から見込みに向かって禾が伸びていくような変化なのですが、それとは逆に広がるような変化が非常に面白いです。
ちょっとだけ油滴っぽさも混じっているような気もしますね。
あと清水焼の、特に天目杯は歪みのない均整の取れた姿形が多い印象なのですが、この器は口縁のあたりが割とはっきりと歪みがあって手捻り感が出ているのも惹かれた理由のひとつです。
横から写した画像だとわかりやすいですね。

ただ禾目天目の器はひとつ持っているし、二つ目を買うのもなあ…と思いながら値札を見ると「トチ目天目 ぐい呑み ◯◯円」との記載。
トチ目天目という名称は初耳です。
どうやら火花に近い広がり方のこの天目をトチ目天目と呼ぶのでしょう。
また一つ新しい知識が増えましたね、などと思いつつそれならばと店員さんに包んで頂くようにお願いしました。

帰宅してから包装を解くと、共箱にはしっかりと「禾目天目」と箱書きが…おいw
念の為に「トチ目天目」という単語で検索も掛けましたが、そんな単語はヒットせず。
値札は手書き文字だったので禾目を変換できずというわけではなく、禾目の読み方がわからなかったのかな?と予測しているのですが、高島屋でそんなことってあるのかな。

ともあれマイコレクションとしては二つ目の禾目天目のぐい呑みになりますので、この際我が家においてはこの器はトチ目天目と呼んで区別することにしていますw

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