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ぐい呑み 吉野桃李 萩焼 井戸 桃李窯



昨年末の記事で、酒器はもう当分買わないとか書いた覚えがありますが、半年経たないうちに新入りを迎えてしまったので、久しぶりの酒器紹介です。

職場に程近い陶芸専門のギャラリー縄で吉野桃李さんの個展があるのは送られてきたDMで知っていたのですが、決して行くまいと思っていました。
DMの写真の時点で、かなり好みな感じがひしひしと伝わってきて、見に行ったら間違いなく手を伸ばしてしまうことが予測できたので、展示期間中も見て見ぬ振りを続けていました。
なんか良さそうな作品展だからと迂闊に足を運んで、予定外の出費をしてしまうような程度の低い真似は決して致しません。
自分ももう良い年をした大人の男性ですからね、ふふふ。

ただ…ちょっと…、いや本当に偶然なのですが、個展の最終日前日に近くを通り掛かり、しかも折り悪く小雨もぱらついてきてしまって、もうどうしようもなくやむを得ず雨宿りも兼ねてギャラリーの中に足を踏み入れざるを得ない状況に追い込まれてしまいました。
そんな運命的な状況の中で出会って買ってしまったのが、こちらの萩焼井戸形のぐい呑みです。

井戸形のぐい呑みは一つ所持しているのですが、そちらはツヤのあるやや現代風な趣なので、このぐい呑みのようないかにも侘びた佇まいの井戸形も手元に置いておきたいなあとはずっと思っていたんですよね。
そんな自分の思いを見事にど真ん中で撃ち抜いてしまったのが、この器です。
もうこれは運命としか言いようがなく、運命には逆らっても無駄なので年初の決意にはとりあえず目を瞑って頂いて買い求めています。

ちなみにギャラリーで見つけたのは4月の中旬ですが、その時点では共箱がまだということで、売約済みにだけして頂いて、その日は帰っています。
5月半ばくらいにようやく共箱が出来上がったという連絡が入ったので、お迎えに上がっています。
スーツなどはお店で悩み抜いて生地を選んだものの、仕立てが完了する頃にはすっかりどんな生地を選んだのか忘れていて、受け取る段階になって、何で俺こんな生地を選んだんだ…と数カ月前の自分に文句を言いたくなることがよくあるのですが、酒器の場合は幸いそういう経験はありませんw
なぜだろうと思ったのですが、スーツはそもそも生地を気に入って買うというよりは、そろそろ新調しないとという必要に迫られて、その時のお店にある生地の中で比較的好みのものを選びます。
酒器は必要に迫られることがなく、本当に気に入ったものしか手を出さないので、多少時間が経とうと評価は変わらないということなのかなと。

話が盛大に逸れましたが、この器の見所はというと、これはもう実際に使わないとわからないですね。
勿論、画像だけでも器肌や釉薬、貫入などの変化の楽しさは見て取れるとは思います。
しかし、やはり真価はお酒を注いで口に運ぶ時、遠目には気づかなかった小さな肌の表情が目に入る瞬間でしょう。
細かな貫入と釉薬の変化具合は、口元に運ぶたびに新たな発見があり、一体いつになったらこの器を味わい尽くしたと言えるようになるのか予想もできません。

そんなわけで、ゆっくりじっくり長い時間を掛けて付き合っていきたい萩焼井戸形のぐい呑みの紹介でした。
さすがに本当に酒器の購入はこれで控えようと思います(前振り)。

ぐい呑み 小久保凌雲 凌雲窯 萩焼 灰被り

萩焼灰被り

ナドヤドームのやきものワールドで購入した萩焼のぐい呑みの紹介です。

萩焼好きではありますが、萩焼なら何でも好きかというと実はそんなことはなく、たとえば鬼萩なんかは全然良さがわかりません。なんかキモいし。
萩焼の作家さんの展示を拝見しても自分好みでは無いなあと思うことのほうがむしろ多いくらいです。
そのくせピンと来る品に出会うと心底惚れ込んでしまって何が何でも欲しくなってしまうという厄介な個性が自分にとっての萩焼の魅力だったりします。

というわけでピンと来てしまった萩焼のぐい呑み。
形としてはスタンダードな抹茶碗形ですね。
鬼萩はわからんと述べましたが、鬼萩ではない白の萩焼はかなり好きなので手に取って見ると、うっすらとくすんだような変化が見て取れます。
これが所謂灰被りとよばれる変化です。
焼成する際に木灰が被さり釉薬と溶け合ったりして窯変することによる表情で、備前焼で割とよく見ることができます。
実は灰被り自体は器肌から浮いて見えるというか、火傷的な痛々しさや違和感を感じることの方が多くて苦手なのですが、この器の変化は本来の白を損なうこと無く馴染んでいて非常に自分好みです。

高台は萩焼らしく三方割高台ですが、土見せですね。その為、カイラギが無いのですがカイラギもやり過ぎだとキモいと感じてしまう性格なのでむしろOKw
高台わき(高台回り)は藁釉が危うくひび割れを起こす寸前の様相を呈していて、これが割れてしまっていたら好みではない鬼萩風になってしまいます。
危ねーな、もう少し頑張りすぎてたら不合格ですよというギリギリのバランスも気に入った理由のひとつだったりします。

そんなわけでもうほとんど購入を決意しながらいじくり回していると、売り子のおばちゃんが寄ってきて、この器の灰被りがいかにレアかを力説してくれました。
灰被りはものすごく大雑把に言えば灰が付着して焦げることによる変化みたいなところがあるので、基本的に器肌よりも色合いが濃く出ます。
「灰被り」だとシンデレラが出てきてしまうので、「灰被り 器」とか「灰被り 茶碗」などのキーワードで画像検索するとわかりやすいかな。
そんなわけで本来この白の萩焼も灰被ると黒く焦げたような変化になってしまうことが多いらしいのですが、これくらいのちょっとした変化で落ち着くパターンは非常に珍しいのだそうです。
もっとも灰被りが強く、濃く出た方が好みという人も当然たくさんいますので、別にこれくらいの変化だから価値が高いというわけでは決してありません。
ただ自分好みであるのは先述の通りなので、出会いに感謝しつつ購入しました。

酒器はそれぞれに思い入れや良さがあるので、順位付けやランク付けはしないのですが、それでもこの器はお気に入り度がかなり高いので使う頻度は多いです。
今後どのように化けていくのかも楽しみな器です。

ぐい呑み 藤本敏夫 九郎房 萩焼

萩焼井戸茶碗

夏の京都の陶器まつりで入手した萩焼のぐい呑みです。

貫入のしっかり入った枇杷色の姿形は井戸茶碗を彷彿とさせます。
井戸茶碗自体はもともとは高麗茶碗と呼ばれ朝鮮由来の茶碗なのですが、特に萩焼は井戸茶碗との関わりが深く、萩焼が生まれた当時から井戸茶碗の作陶では全国的に名が知られていたという歴史があります。
「一楽、二萩、三唐津」という言葉も実は最初は「一井戸、二楽、三唐津」だったのが「井戸=萩」とされる程に萩焼で井戸茶碗の名品が多数輩出されたことから、「一萩、二楽、三唐津」へと変化して、その後「一楽、二萩、三唐津」へと移り変わっていったのだそうです。

井戸茶碗自体は「大井戸」という言葉もある通り、大きなものほど価値が高いとされています。
そんな井戸茶碗をぐい呑みサイズで再現したこの器は、貫入、枇杷釉、カイラギ(ほんの僅かですが)と、限られたサイズの中で井戸茶碗の特徴を詰め込んであります。
小さいくせに精一杯頑張っているようなこの器を見ると、七五三や入学式などでネクタイをした男の子や晴れ着姿の女の子を連想してしまい、思わず笑みがこぼれてしまいます。

ちょっと背伸びしている子供を見て微笑んでしまうような気持ちになる萩焼のぐい呑みの紹介でした。

ぐい呑み 山根清玩 三彩 萩焼 古の中国、霧の立ち込める山中を描いた水墨画のような器

清玩三彩
白の器は撮影が難しいですね…
入手順序的にもっと早く紹介すべき酒器もあるのですが、割とタイムリーな話題を含むので先に紹介します。

梅田阪急で雅萩堂という萩焼のお店が展示販売をしていたので、覗いたところ見慣れた清玩さんの青萩の器がありました。
売り子のおっちゃんに青萩の酒器を愛用していることを伝えると、たいへん喜んでくれて色々教えてもらいました。
清玩さんの青萩は今現在海外でもかなり人気で、ブラジルやイタリアはミラノにまで出荷しているのだそうです。
そんな清玩さんが最近力を入れているのが、この三彩という器だそうです。
売り子のおっちゃんいわく「青萩はもう一周しちゃったみたいでねー、あははは」っておいw
「もう飽きちゃったんですかね、わはは」と一緒に笑いはしましたが、御本人が言うならともかく売り子のおっちゃんがそんなこと言っちゃっていいのかw

ともあれ、この三彩のぐい呑みよくよく見ると、白、黒、茶、緑の濃い色の間にうっすらと紫が差していて、なかなかに味わい深い色合いです。
表題の通り、中国の山水の水墨画のイメージです(リンクはGoogleの画像検索)。
手触りは見た目の通りズシリと重く、割と軽い酒器の多い自分のコレクションの中では重量級ですね。
見た目のツヤの通り、ツルッとした手触りながら手捻りの凹凸が絶妙に指先にフィットして、お酒をなみなみと注いでも滑り落ちるような心配、気配は全くありません。
この馴染み具合、フィット感は狙ってそうしたなら本当に凄いです。
ずしりと重量を感じさせながらも、手に吸い付くような感触は盃の不安定さでは得られない安心感を与えてくれます。

他にはGWの萩焼祭りは人多すぎ&宿取るの大変すぎだから、祭りが終わった翌日や翌々日に来るのがお薦めと仰っていました。
お薦めと言われても翌日や翌々日が平日だと、一介のサラリーマンにはスケジュール調整が難しいところではありますね。
興味のある方は一度試してみるのも良いのではと思います。

とりあえず清玩氏の三周目はなんだろうなーと思いながらお酒を注ぐ、そんな器です。

あと山口県萩市の
「明治日本の産業革命遺産 製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」世界遺産登録決定
おめでとうございます!ちょうどこの酒器を買った日に登録が決定しまして、件の売り子のおっちゃんはさすがに内情に詳しいのか正式発表の数時間前にも関わらず、ちょうど今日決定の予定なんですよ~とニッコニコでしたw

ぐい呑み 片口 山根清玩 青萩 萩焼  スタイリッシュで鮮やかなブルーのぐい呑み

清玩青萩酒器揃
なんか画像が見切れてたりしますが、この品は通販サイトでも見ることができるので、修正せずにそのまま上げますw

山根清玩さんは萩焼の作家で清玩ブルーと呼ばれる青萩の作品が特に人気です。

このぐい呑みは結構以前に梅田の阪急百貨店で販売されているのを見かけて購入したのですが、贈答用のギフトなどでもお薦めされていたりとネット上でも頻繁に目にすることは多いですね。
つい先日梅田阪急に足を運んだ時も販売していたので、定番の人気商品なのでしょう。
粉引の白い萩焼の皿や器を好んでいた私ですが、この酒器に出会って始めて青萩というジャンルを知りました。

片口もぐい呑みも鮮やかな青色の釉薬の変化が素晴らしく、万人受けするわかりやすい良さのある酒器だと思います。
特に片口は徳利、片口系では一番のお気に入りです。
ただ氷ポケットのあるガラス製の徳利が便利すぎて、お気に入りな割に使用回数が少ないのが申し訳ないです。

ぐい呑みの方はちょっと格好の良い器として、背筋を伸ばして気取ってお酒を飲みたい気分の時によく登場しますw

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