ぐい呑み 藤本敏夫 九郎房 萩焼

夏の京都の陶器まつりで入手した萩焼のぐい呑みです。
貫入のしっかり入った枇杷色の姿形は井戸茶碗を彷彿とさせます。
井戸茶碗自体はもともとは高麗茶碗と呼ばれ朝鮮由来の茶碗なのですが、特に萩焼は井戸茶碗との関わりが深く、萩焼が生まれた当時から井戸茶碗の作陶では全国的に名が知られていたという歴史があります。
「一楽、二萩、三唐津」という言葉も実は最初は「一井戸、二楽、三唐津」だったのが「井戸=萩」とされる程に萩焼で井戸茶碗の名品が多数輩出されたことから、「一萩、二楽、三唐津」へと変化して、その後「一楽、二萩、三唐津」へと移り変わっていったのだそうです。
井戸茶碗自体は「大井戸」という言葉もある通り、大きなものほど価値が高いとされています。
そんな井戸茶碗をぐい呑みサイズで再現したこの器は、貫入、枇杷釉、カイラギ(ほんの僅かですが)と、限られたサイズの中で井戸茶碗の特徴を詰め込んであります。
小さいくせに精一杯頑張っているようなこの器を見ると、七五三や入学式などでネクタイをした男の子や晴れ着姿の女の子を連想してしまい、思わず笑みがこぼれてしまいます。
ちょっと背伸びしている子供を見て微笑んでしまうような気持ちになる萩焼のぐい呑みの紹介でした。
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